お知らせ

Be Cool

今年度の職場内研修会については以前に“こちら”でお伝えしました。
年度当初から、一年間の計画を立てて開催しています。
前回更新後も「認知症」「事故再発防止」「食中毒・感染症」といったテーマで実施してきて、今月も大きな行事をようやく終えたところで、開催準備の話となりました。

こういった研修内容のうち、「法令遵守」などといった法定研修内容になると「そういうのはオンデマンドに任せる」あるいは「AIに資料作成を……」という流れになりがちです。
お金を払ってオンデマンド研修プログラムなんかを採り入れた以上は、活用するのは当然なのですが、あるあるなオンデマンドの研修内容は100%正し過ぎて、そのままだと良薬口に無味無臭です。
いつ何時誰が見ても活用できるユニバーサルデザイン的なものだと、逆に“今回のこのタイミングでこのテーマで開催する意味”というものは削がれてしまうわけです。

そこが気になってしまうと、あるあるなオンデマンド or AIの内容に+αするか、担当者がオリジネーターとしてゼロからプログラムを作る選択しか残されません。
でも、担当者が手持ちのカードや法令に関する深い見識を持っていないと、前者はなかなか難しいし、どうしても話者依存度が高くなって、事業所にとって汎用性の高い研修資料になりにくい現実問題があります。

かつて大学スポーツでの反則行為騒動や某アイドルグループ記者会見などを研修素材に借りるなどのアプローチをしてきた当苑では、広報担当が今回のMCを務め、“善意”を考えるという内容で開催しました。
誤解されると大変なことになりかねない話ですが、我々の業務はあまりにも相手に近すぎて、そこにダイナミズムもあればリスクもあります。
根っこに善意を置いておくことで、ハードな状況下で忍耐力が欠けてしまう……という考え方は、それほど個人的すぎるとは思っていません。
昔からソーシャルワークの考え方に、新古典派経済学を代表するアルフレッド・マーシャルの「Cool Head, but Warm Heart」が引用されていることからも、少し考えてみる価値はありそうです。
光の届かないハーレムの壁は赤でも白でも紅白じゃないのさ そうサブちゃんオオトリなんだよまつり!」ですから。

これは別に、現場に悪意をもって臨め……と勧めるものでも、ドライな感情で働けという主張ではありません。 
善意に立脚していない業なんて、そもそもないはずなので、ことさらそれを前面にセールしなくてもいいんじゃないの、セールし過ぎることが業務遂行の支障にならないか!?……という考え方です。

たとえば、介護労働実態調査(公益財団法人介護労働安定センター/令和6年度は約18,000事業所・約54,000人対象、有効回答率は40.3%)は毎年実施されていますが、5年度においては仕事のやりがい・働き甲斐について尋ねています。
※6年度調査は直接的な問いかけになっていなかったようです。
それだけで「介護労働者全体の総意」とすることは早計と思いますが、回答上位には、
「利用者の援助・支援や生活改善につながる」36.4%
「福祉に貢献できる」28.0%
「専門性が発揮できる」25.8%
「仕事が楽しい」24.2%
「自分が成長している実感がある」21.7% などが挙げられています。

一方で、「自分の善意が伝わってうれしい」とか「感謝されてうれしい」という選択肢は、プルダウンの中にそもそも用意されていないのです。
仮に「いずれの選択肢も当てはまらないor無回答」も全体の22.3%にしかならず、少なくとも調査では「感謝されること」や「善意が伝わること」が仕事のやりがいと結び付いていないし、回答側もそういう心情を持ってはいないんじゃないかと類推できます。

けれども、「介護+やりがい」「看護+やりがい」などと検索すると「他者から感謝される」「ありがとうをたくさんもらえる」といった言葉が前面に出てきます。
そこには、世の中が我々の仕事にそうした側面を期待していることや、私たち自身も知らず知らずのうちに、「自分たちの仕事はそういうもの」と捉えて、背負い込み過ぎていないか……ということが考えられると思います。

そこにそれが必要だとすれば、何処まで必要なのか。
そして、それを何処に置くのか。
そんなところから、少し考えてみる時間を作るといった研修テーマに出来たら……。
気持ちのままにPPT資料にしてみたら、なんだか悩ましすぎるものが出来上がってしまって頭を抱えましたが、それでも、こういう着目点は無意味ではないと再認識して資料再作成し、先般開催しました。

決められたことを「守りましょう」と確認するだけではなく、自分たちの中(いや、人々の中)に当たり前のようにある……とされているものについて、少し立ち止まって考えてみる。
確かに話者依存度の高い内容になり、誰でもが担当者(話者)にはなれないという点はありますが、こういった手作り作品も併用できるようにしていきたいと思います。
オンデマンドやAIでは出来ない人間技による体温高めの研修も現場力、拠点力のはずですから。
尚、本研修の最大の問題点は、この研修資料を多言語に翻訳して外国人スタッフにも分かりやすく構成することでした。

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