緊急入所? つつじ苑の仲間たち・オオクワガタ
※虫が苦手な方はご注意ください。
ちょっと遅めの昼食を終えた14時過ぎ、「本館の2階に大きなクワガタのメスがいますよ」と職員が教えてくれました。
女性が言う「大きな」なので、まぁそんなに期待はせず足を運ぶことに。
クワガタではなく、カナブンやカミキリ、場合によっては皆から嫌われているGの可能性もあるかもなと考えながら。
教えてもらった窓を見ると既に姿はありませんでした。
「そこの窓の網戸の外側にいたんだよ」と、ご利用者も教えてくれましたので、寒いけど念のため外も確認します。
すると、予想以上の大きさの昆虫が網戸の上方に張り付いているではありませんか!
少々失礼して下の方へ移動していただきます。
間違いなくオオクワガタ(Dorcus hopei binodulosus)のメスです‼
小型ですが大腮(=はさみ)はオオクワガタ・オスの特徴と一緒。
脚部の欠損もなく、きれいな個体です。
写真だとなかなか大きさが伝えにくいのですが、指と比較するとこのような感じになります。
全長は47㎜でした。
オオクワガタやヒラタクワガタ、コクワガタなどのDorcus属は越冬できるタフな種です。
早いものはゴールデンウィーク明けくらいから活動を開始すると言われていますが、本日のような寒くて小雨が降る日に出会えるとは思ってもいませんでした。
ましてやオオクワガタは臆病で、日中は大木の洞などで過ごしています。
夜間でもねぐらから離れることが少なく、危険を感じればすぐに隠れてしまうくらいなので。
1990年代には「黒いダイヤ」と言われ高値で取り引きされていました。
現在は繁殖方法が確立されており、以前ほどの希少価値はなくなっています。
それでも予期せず自然の個体に出会えることはとても幸運です。
また、飼育繁殖されているので種としての絶滅はありませんが、自然界では絶滅危惧Ⅱ類となっています。
乱獲や生息環境の破壊が原因です。
まだオオクワガタが生息できる環境が周囲にあるつつじ苑は、とても恵まれているなと実感します。
せっかくお越しいただいたオオクワガタですが、本日は本館も満床となっております。
緊急入所をお断りしなければならないことを心苦しく思いながら、富津の自然の中でたくさんの子孫を残してくれることを期待します。
~追伸~
夕方、廊下の隅を動く大きな影が。
立派なゲジです。
こちらも写真だと大きさが伝わりにくいのですが。
靴と比較するとこのようになります。
蛾やGも食べてくれる益虫なのですが、見た目から嫌われて不快害虫などと呼ばれる不遇な存在。
そっと屋外へご退場いただきました。
自然が豊かだと、来訪者も多様です。