たまに来る常連さん つつじ苑の仲間たち・ケラ
※今回も虫の話です。
ちょっと前のことになります。
介護職員室の壁際で何か小さいものが動きました。
ごちゃごちゃした荷物を移動すると…
素早く飛び出すシルエットを確認‼
壁に追い詰めます。
もう逃げられません。
ケラ(Gryllotalpa orientalis)です。
おけら(螻蛄)という呼び方の方が馴染みがあるかもしれません。
あまりメジャーな昆虫ではないですが、コオロギの仲間です。
「〽みみずだって おけらだって アメンボだって」の歌を聞けば、そういえば知ってると思う方もいるのでは。
つつじ苑には年に1回くらい迷い込んでくるのを個人的に見つけます。
普段はトンネルを掘って土の中で暮らすことに特化したため、姿を見ることは少ない昆虫。
一般には代掻きの時期に、水を張った田んぼから慌てて外に出ることで目にする機会があるそうです。
しかし近隣の田んぼが水を張ったのはかなり前のこと。
今回は驚いて飛び出してきた訳ではなさそうです。
ちょっと失礼してじっくり観察させていただきます。
土の中で暮らすため、汚れないようにビロード状の細かい毛が生えています。
なのでなかなかピントが合いません。
掘るための前脚が発達しているのが分かります。
この状態が「お手上げ」を連想することから、お金が無いことを「おけらになる」と言うようになったそうです(諸説あり)。
また、飛んだり跳ねたり掘ったり歩いたり鳴いたり泳いだりと多芸なものの、どれも一流ではないことから器用貧乏なことを「ケラ芸」「螻蛄の七芸」と言ったりもします。
鳴き声は土の中から「ビーーー」と響いて聞こえてきます。
昔は「ミミズの鳴き声」と勘違いもされていました。
春先から草むらで「ジーーー」と鳴き始めるクビキリギスの鳴き声と混同されることもあります。
土にトンネルを掘るモグラと同じような前脚になっているのも興味深いです。
もし土中を素手で掘り進んで脱出しなけらばならないことになったら、腕を上下に動かすのではなく、左右に掻き分ける方が良いのかもしれません。
秋にもよく見かけるタイミングがあるようなので、今年はもう一度くらい会えるでしょうか。
写真を撮らせてもらった後、苑の裏庭に放しました。